
今回は「残量を計測するセンサーが無い」場合でも燃料残量を表示させる方法について解説します。
実は結構相談を受けることが多く…
・センダーゲージが壊れた
・他車種の燃料タンクに交換した
・安全燃料タンクに交換した
・数リットルの量を分析したい
以上のようなケースが多いです。
常にガス欠の不安を抱えながら走るのは不便です。ガソリン残量の表示は必要ですが、そのような需要とは別に、タイムアタック車輌では「パドックでエンジン始動、暖気してピットに入り、アタックしてパドックに戻る」という流れの中で、どこでどの程度ガソリンが減るのか。無駄を排する事で、あとどれくらい搭載量を減らせるのか…を把握したい。
あまりストイックになり過ぎるとガス欠になりそうですが、ピットから出る際に「正確に何リットル残っているか目視できる」だけでも大きなアドバンテージです。
では実際に、センダーゲージ無しで残量を表示する方法について解説します。
エンジン制御をおこなうECUは、ガソリン噴射量を精密に調整する頭脳です。
MoTeC M1の場合、単純なインジェクター開弁率だけではなく、電圧変化で大きく変動する燃圧まで把握した噴射制御をおこなっているので、エンジンが消費するガソリン量を正確に把握しています。
その燃料消費量の情報を各MoTeC機器同士はCANで共有できるため、ディスプレイロガーがガソリン残量を把握できるのです。

例えばディスプレイロガーに「燃料タンク容量50L」と設定し、満タンにしてスタートボタンを押す。
すると、50Lから消費した分だけメーターの数字が減って行きます。満タンにしないと数字がズレる事と、スタートボタンを押す必要がある事。ふたつの手間が必要ですが、これでセンダーゲージが無くても残量表示ができるのです。
残量を「センサー」ではなく「計算」で表示するメリットのひとつに、安定性があります。センダーゲージでの計測は、前回説明した通り「タンク内で波打つ」ため、精密な残量を監視しにくいのが難点。
僅か数リットルの限られた燃料を無駄にせず使用したいカテゴリーでは、正確に残量を把握できるだけでも強いアドバンテージになるそうです。
ガソリンを使ってる奴なら使った量くらい判るだろ。と、いう話をMoTeC M1に聞いて、ディスプレイロガーが使った分だけ残量を減らして表示。非常に単純な仕組みですが、このような連携ができるのもMoTeC製品の特徴です。
次回は純正センダーゲージとCANについて解説します。



