86/BRZ用、R35 GT-R用、GRヤリス用、FK8用など、MoTeC M1には車種専用があります。
これら車種専用MoTeC M1は、純正ECUの書き替えと何が変わりますか?という質問を多く頂くので、それについて解説します。
MoTeC M1化した御客様から最も多く頂いた言葉は「停止からの発進が全然違う。別のクルマのように乗りやすくなった」「アクセルに素直に反応するようになった」「パワーの立ち上がりが断然良くなった」という物です。
純正ECUの書き替えもMoTeC M1も、「空燃比や点火時期の調整をする」という部分は共通ですが、それだけではない部分の違いが乗り味の違いとして現れます。
「それだけではない部分」
これは色々とあるのですが、判りやすい例について解説します。
現代の自動車は、例えスポーツカーであっても燃費や排出ガスに対する規制が厳しく、さまざまな方法でこれに対応しています。
空燃比や点火時期、可変カム、電子スロットルなど、各機構が単に一定条件で決まった動きをするのではなく、あらゆるシチュエーションで燃費や排出ガスを良好にするために、渾然一体の制御をおこないます。
制御の一例として、今回は電子スロットルについて解説します。
アクセルペダルを勢いよく踏み込む(踏む速度が速い)と、瞬間的に空燃比が薄くなってエンジンが息付きするため、「加速増量」というガソリンの増量が必要です。この加速増量は、いわゆる「空燃比調整用の燃料マップ」に対して、さらに多くのガソリンを追加で噴射する設定です。
これはアクセルを床までドンと踏み込んだ時だけではなく、アクセル開度0%から40%までスッと踏み込んだ場合や、20%から50%に踏み増した場合でも必要になります。セッティングの際は「加速増量補正」を最適化する必要があり、多すぎたり制御が雑だと踏み込んだ瞬間にマフラーから黒煙が出たり、アクセルのツキが悪くなります。
ただ、燃費を考えた場合、ガソリンの噴射量を「増量」などしない方が良いのです。「急アクセルやペダルをパカパカ踏まず、ペダル一定で走る」を徹底するなら、加速増量が働かないので燃費は良くなります。
このような知識や運転技術を持たない人でも、加速増量をなるべく使わない(燃費の良い)運転をしてくれるのが、電子スロットルを使った制御技術です。
繊細なアクセル操作が出来ない人や、アクセルをパカパカ踏む人が運転しても、スロットルバタフライを「リニアに動かさない」ことで、加速増量を不要にするのです。
そしてもうひとつ。
例えばアクセル開度50%からアクセルオフする場合も、「バタフライがスパッと閉じる」ような急激な閉じ方をすると、バタフライが空気の吸入を遮断し、未燃焼ガスがそのまま排気されてしまいます(レースカーがストレートエンドのアクセルオフでマフラーから火を噴くのは、この「急激なアクセルオフで発生した未燃焼ガス」が排気管の高熱で着火した物です)。
光化学スモッグの原因と言われる未燃焼ガス=排気ガス中の炭化水素(HC)を減らすには、ドライバーがアクセルを急激にオフせず、ゆっくりとペダルを戻すことが重要です。電子スロットルは、これを全自動で操作してくれます。
つまり、電子スロットルが(ドライバーのペダル操作を忠実にトレースせずに)ゆっくり開閉することで、燃費向上と排出ガス低減を追求しているのです。
そしてこれこそが、「アクセルを踏む右足からダイレクト感を感じる事が出来ない」と、電子スロットルを嫌う人が多い最大の理由だと思います。
これは数ある燃費や排出ガス低減技術の一端ですが、当然ながらMoTeC M1にはデフォルトで設定されていないため、常にダイレクトなアクセルレスポンスを体験できます。もちろんペダル感度の調整も自由自在です。
◆製品紹介
MoTeC M1シリーズMoTeC M1 エンジン制御ECU 他の追随を許さない圧倒的な処理速度で、精密なエンジン制御を可能とします。プラグインモデルは純正ECUと置換することで、自由で精密なエンジン制御が可能です。搭載するCANは最速の1Mビット/秒で他のMoTeC機器との通信を可能とします。
https://onlineservice.jp/shop/ecu.html